コロナと自由の制限

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私の住むマレーシアでは、新型コロナウィルスの第三波が進行中です。こちらのコロナ対策は、日本と異なり自粛はありません。どの都市までだったら移動してよい、外食は何人までなどといった行動範囲が法律で厳格に制限され、警察が取り締まります。私にとって、日常生活の細かなことまで決められるのはどうもしっくりきません。ストレスを感じます。一方で、マレーシアの人たちは割と従順にこれに従っています。

何が違うのでしょうか?

ある雑誌の対談で国際政治学者の白石隆教授が言われたこと、これは新たな発見でした。私なりの解釈は以下の通りです。

「国民と国の間にはお互いがすべきことについての暗黙の合意事項があり、これが日本のような先進国とマレーシアのような新興国では異なる。新興国では安全と豊かさであるのに対し、先進国ではこれらに加え自由がある。」

もちろんマレーシアでも自由がゼロではありませんし、他の東南アジアの国と比べても自由な方です。これまで不自由さを感じたことはありませんでした。しかし、今回のような緊急事態となると、この自由に対する制限が強くかかります。それでも国民から不満が出てこないのは、国と国民の間で自由の制限を暗黙的に合意しているから、というわけです。

私が感じたストレスの根源が見えた気がします。

当たり前に思っていることが異なる。外国で働くときに頻繁に体験することですが、これほど壮大で基本的な違いに気づいたのは久しぶりです。■