言葉として気づけない領域へ迫る

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LEGO® SERIOUS PLAY® (LSP)というファシリテーション手法の教材活用トレーニングに参加しました。LSPとは、特別なレゴブロックを使って作品を作り、グループのコミュニケーシヨンを促進する手法です。

コミュニケーションというと、言葉や文字を使うのが一般的です。例えば、会議では話し合ったり、ホワイトボードや付箋に意見を書いたりして、意見を交換します。私は、そのような場で、言葉が上滑りしているような印象を抱くことが多々あり、漠然とした違和感を私は持っていました。

ところが、LSPを使ったワークショップに参加した時、不思議な感覚を感じました。私たちが言葉を発する前の頭の中をレゴブロックの作品で表すと、思いもよらないような気付きやその時の印象が強く残るのです。そこで、この手法に興味を持ち、ファシリテーター養成トレーニングに参加したというわけです。

その結果、言葉を発する前の頭の中の状態に対するイメージが変わりました。

トレーニング参加前は、そのイメージはかなり曖昧でした。言葉を発する前の頭の中を知る手がかりなんてありません。だから、表面が真っ黒で何も見えない池を上から見ている感じでした。面白そうだが、何か得体のしれない、どこから手をつけてよいものかわからない状態でした。

トレーニングに参加した後、その池のイメージが変わりました。池の表面に近づき、真っ黒なはずだった表面が、実は細かい砂や泥、植物の破片などが漂っているのに気づきました。

池に手を入れてみると、水の感触が伝わります。そこから、何かを引き出せそうという期待も感じれるようになりました。もちろん、上手にやるには、更に経験が必要そうですが。

人間は言葉にできるものより、多くのことを理解しているようです。ただ、これらのほとんどは、言葉にするのが難しいです。しかし、LSPを介して、普段、言葉にできない領域にアクセスし、言葉にすることができます。まず、手を使うと言語にできない領域へのアクセスが容易になります。手を使ってレゴブロックを組み立ててみると、これがよくわかります。次に、この過程を他の参加者と共に行うことです。周りの参加者とレゴブロックでつくった作品についてやり取りすると、今まで気づかなかったことを沢山発見することができました。

いつもと異なる頭の部分へアクセスするのは、普段、使わない筋肉を使って運動するようなもので、疲れるものです。しかし、その疲れに報いるのに十分なその深い洞察が得られます。

その媒介となるのが、レゴブロックです。絵を描いたり、何かを作ったりするのと異なり、レゴブロックは誰でも簡単に組み立てられます。また、組み立てた後に変更を加えたり、他の作品と組み合わせたりして、話し合いに応じて変えることができます。更に興味深いのは、この過程は2人以上の参加者で行うので、関係の強化に役立ち、参加者同士がお互いを理解し、前向きに関係を築くことです。

期待していたよりも多くの気付きを得られたトレーニングでした。■